海洋資源との共生

ブルーカーボン生態系の多面的価値を有効利用するため、藻場の再生や保護活動に取り組み、気候変動の緩和の実現を目指しています。

海の力でCO2を固定
「ブルーカーボン生態系」が生む気候変動対策

沿岸・海洋生態系が光合成によりCO₂を取り込み、その後、海底や深海に蓄積される炭素のことを、ブルーカーボンと呼びます。2009年に公表された国連環境計画(UNEP)の報告書「Blue Carbon」において紹介され、吸収源対策の新しい選択肢として世界的に注目が集まるようになりました。ブルーカーボンの主要な吸収源としては、藻場(海草・海藻)や塩性湿地・干潟、マングローブ林があげられ、これらは「ブルーカーボン生態系」と呼ばれています。

※「2022年度の我が国の温室効果ガス排出・吸収量について」(環境省)報道発表資料より作成
※「2022年度の我が国の温室効果ガス排出・吸収量について」(環境省)報道発表資料より作成

ブルーカーボン⽣態系の特徴

海草(うみくさ)

主な種類:アマモなどの植物

海藻(うみも)

主な種類:ワカメやコンブなど 岩礁に生息する植物

塩性湿地・干潟

主な種類:ヨシや塩性植物など

マングローブ林

主な種類:マングローブ

海の砂漠化
磯焼けがもたらす深刻な問題

海の生態系にとって不可欠な藻場が「磯焼け(※)」によって次々と失われています。「磯焼け」が起こるとコンブやワカメなどが茂った海の森が枯れ果て、海底が砂漠や荒れ地のようになることから「海の砂漠化」と表現されることもあります。
藻場は、重要な海洋の生態系の1つです。漁師が漁獲する魚以外にも多くの生き物が生息しています。つまり、藻場の衰退は「水産資源の喪失」を意味しますので、地域の漁業に大きな影響を与えてしまいます。もちろん「ブルーカーボン」という視点から見ても「磯焼け」は深刻な課題です。藻場が減ることで、二酸化炭素の吸収量も減ることになり、地球温暖化をさらに加速させることにつながりかねません。

※磯焼けは「浅海の岩礁転石域において、海藻の群落(藻場)が季節的消長や多少の経年変化の範囲を超えて著しく衰退または消失して貧植生状態となる現象」 と定義されています。磯焼けは、多くの複合的な要因によって発生すると言われていますが、その中でも主要な要因は「植食動物による食害」と「海水温の上昇」と言われています。
磯焼けした海底
磯焼けした海底

藻場を救うために「食べる」選択を

ブルーカーボンにつながる取り組みの一環として、グリーンコープおおいたで「アイゴの一夜干し」を開発しました。アイゴは海藻を主に食べる習性があり、「海のベジタリアン」とも呼ばれる魚です。特に岩場やサンゴ礁に生息し、大量の海藻を食べることから磯焼け(藻場の消失)の原因のひとつとされています。
アイゴを積極的に消費することで、アイゴによる食害を抑え、磯焼けの予防につなげたいという思いから商品化されました。アイゴを食べることが、藻場の保護や海の生態系を守る手助けとなり、ブルーカーボンの推進に貢献します。

商品名:豊後水道のアイゴ一夜干し150g(4~6切)
商品名:豊後水道のアイゴ一夜干し150g(4~6切)
商品名:豊後水道のアイゴ一夜干し150g(4~6切)

アイゴの価値を伝える
海の恵みを未来へ

「豊後水道のアイゴ一夜干し」のメーカー「やまろ渡邉」は、明治41年創業の老舗水産加工会社です。伝統的な干物作りの技術を守りつつ、最新設備を導入して現代のニーズに応えた商品開発を行っています。「海の恵みから新しい価値を創造する」という理念を掲げ、アイゴ本来の価値を活かした加工品を提供。地元漁師にアイゴの廃棄を防ぎ市場へ出荷するよう呼びかけ、2022年には2.5トン、2023年には約6トンを買い付けるなど、漁師の収入増と藻場保護に貢献しています。

大量の海藻を食べる習性の魚、アイゴ
大量の海藻を食べる習性の魚、アイゴ

組合員の開発に込めた想い

今までは、アイゴは水揚げしても買う人がいないため値段が付きませんでしたが、やまろ渡邉は全量買い取り、未来の海、未来の魚を守るために、あえて値段の付かないアイゴを買い取って、アイゴの一夜干しを商品化しました。グリーンコープ生協おおいたの組合員は、やまろ渡邉の考えに共感し、美味しいアイゴの一夜干しを組合員に食べていただくことは、たいへん意義のあることだと考え、おおいたの単協開発商品として取り組みました。