気候変動が作物に
与える深刻な影響
生産者は今、過去に経験のしたことのない気候と戦いながら
産直青果・産直米の生産に取り組んでいます
異常気象が農業を直撃
猛暑の脅威
気象庁は8月1日に、今年7月の日本国内の平均気温が平年よりも2.16℃高く、統計をはじめた1898年以降でもっとも高かったと発表しました。今、私たちはこれまでに経験したことのない異常気象の中で生 活しています。特に農業分野では、気温の上昇が大きな影響を及ぼしており、従来の経験や常識が通用しなくなっています。
産地の現状
猛暑による高温障害が作物の成長に深刻な影響を与えています。収穫量の減少や品質低下が報告され、生産者の方々は大変な苦労を強いられています。また、害虫の増加も深刻です。高温は害虫の繁殖を助長し、作物への被害が拡大しています。このような状況下でも、組合員の皆様に安全でおいしい産直青果をお届けするために、生産者は努力を続けていますが、気候変動の影響は広範囲に及び、完全に回避することは難しい状況です。
欠配について
この異常気象の影響により、欠配(注文しても届かないこと)が多く発生しています。生産者は今、過去に経験したことのない気候と闘いながら、産直青果の生産に精いっぱい取り組まれています。組合員の皆様のご理解と、産直青果・産直米の継続したご利用をよろしくお願いいたします。
2024.8.7撮影
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2024.8.9撮影
2024.8.12撮影
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2024.8.13撮影
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生産者の声
2024年8月、九州の産直野菜生産者へヒアリングを実施
気候について
- 以前はこの地域で30℃を超えることはなかった。夜は20℃切っていた。しかし、今は違う。寒暖差でできていた野菜ができなくなった。
- 夜温も高いので生育が進まない。暑すぎて日中を避けて朝作業するが、あまり風が無いので身体的にも年々大変になっている。
- 栽培技術でどうにかなる範囲を超えているように思う。工場のような施設でしか作れない時代がくるのではと思う。
雨がまったく降っていないため、朝、昼、夕方に水を撒いているが、気休め程度でしかない。今年の暑さは特に異常。 - 日中の気温が高すぎて作業できない。朝5時過ぎから作業しているが、7時過ぎると暑くなりすぎて作業できない。夕方も18時から日没まで(見えなくなるまで)作業している。特にハウスは外気の+10℃ほどになるので作業したくても作業できない状況。
- 近年の夏は(今年は特に)暑すぎる。朝と夕方以降の作業となり、作業できる時間がとても短くなっている。収穫量も半減くらいになっていると思う。
- 自分の所は高冷地の中でもかなり標高が高い900mの場所で栽培している。今年は梅雨明け後の6月末位から雨がほとんど降らず、暑い日が異常に続いている。900mの高冷地で栽培しているのに、こんなに暑い日が続いたことは今まで無い。また、アブラムシの発生も今年はかなり多い。
- 冬の野菜もこの暑さで定植できないでいる。
生育不良について
- 今の時期に「なす」を出荷しているが、暑すぎて花が飛び、一部の場所では実がなっていない。雨も7月以降まったく降っていない。
- 「ミディトマト」の苗を定植しているが、今のハウス内は暑すぎるため、そのまま植えても苗が育たない。対策として遮光して、ハウス内の気温が上がらないようにして定植している。そうすると気温は下がるが、デメリットもあり、樹木が細く育ってしまう。特に最初の定植時期の樹木がしっかりしてないと、後々の収穫量にも大きく影響してしまい、秋冬に出荷する分も影響が出て、今後どれだけ収穫できるか心配している。また、遮光している状態でも、ハウス内は40℃を超える状態。
- 来年用のにらを植えたが、枯れてしまって植え直しをしている。
- この暑さで着花しないことが多くなっている。また、実がついても暑さが続く影響もあったせいか、一部変形果のようなもの収穫されている。
- トマトを栽培しているが、今年は暑すぎて、実(花)が付かない。現在出荷しているトマトは5月に定植して、6月は梅雨を経て、7月収穫の流れになるが、梅雨以降、雨が降っていないこともあって、暑さでトマトが割れたりもしている。
- レタスを栽培している。今年は暑すぎて苗の段階からかなり育っていない。また、定植しても、雨が降らず土も暑いため、葉が枯れたりしているのもある。
- 小松菜と里芋を栽培している。小松菜は今年暑すぎて、発芽しない。地温を下げるため、定期的に午前、夕方に水を撒いているが、正直気休め程度。育っているものも、雨が降っていないため、茎が細い。
- トマトはちゃんと花が咲かず、花が止まらず実にならないものが増えた。大根も早く種を撒いたら虫で全滅するなど、栽培が難しくなってきた。
- 人参を8月中~下旬頃に播種(種まき)するが、発芽しないので何度も播き直しをしなければいけない。ようやく発芽しても葉が焼けてしまう。かぼちゃも高温で腐れが出てしまう。
きゅうりは35℃を超えると生育をやめてしまうと言われている。今はハウスの中が40℃を超えているので、きゅうりの元気がない。 - 暑すぎる。ミニトマトもミニトマト(アイコ)もピーマンもハウス栽培だが、真夏は50℃くらいになる。樹はがんばってたくさん花を咲かせるが、暑くて落ちてしまうし受粉しなくなった。
病害虫・獣害被害について
- いつまでも気温が高いので虫が減らない。特にアブラムシが多い。昔は気温が下がると虫が居なくなったが、全然気温が下がらないのでいつまでも虫が居る。特に秋口がひどい。一晩で人参の葉全体にびっしりと付いていることがある。すいかは栽培の初期からアザミウマが多い。
- 夏場の小松菜はアブラムシがとにかく多い。次にコナガ(チョウの幼虫)。暑さのせいか、虫のサイクルが早くなったと思う。
- 今年は梅雨時期の影響を受けたせいか、「葉かび病」が少し発生したのと、暑さが続いていることもあって、コナジラミ類の発生も多く感じる。また、今年はアナグマが圃場に侵入してミニトマトの樹木を荒らす被害があった。例年このようなことはなかった。
- 小松菜を栽培している。暑さの影響もあって虫害(キスジノミハムシ)の発生が今年特に多いのと、虫が発生する時期も早くなっている。例年だと7月中旬~発生することが多いが、温暖化の影響もあるせいか、6月に発生し、対策にこまっている。
アブラムシの発生が例年より多く大変困っている。また、山にえさがないせいか、シカが今年キャベツの圃場に食べに来るのが多い。 - これまでいなかった変な虫が増えてきた(南方から飛んできているよう)。また、雨不足でヨトウムシの発生が多くなってきた。
- 果樹類のダメージも大きい。特にカメムシやコガネムシなどの虫害。今は暑すぎるせいか一時期に比べると少ないが、5~6月、特に山手側に多く発生し、落果するほど多かった。葉や樹にダメージがあると、今年だけではなく2~3年後まで影響が出てしまう。
- 虫は越冬しているようだ。以前はしていなかったと思う。昔ほど寒くないので越冬している様子。暑くなる時期も早いので虫の発生も早くなっているように感じる。カメムシも多い。卵を葉の裏に産み付けていたりするので、それを探すのも大変。
収量の減少について
- 「なす」の圃場は日当たりが良く朝から日差しが強いため、先端が少し曲がったところに水滴がたまり、直射日光にあたることで実の表面がボコボコした状態のものが収穫されている。見た目が良くないので出荷せず除いているので収量減に繋がっている。
- 5~6年前から暑さによって収穫量は減少している。特に今年は異常な暑さであるため、対策するにしても手立てがないのが実態。
- 「きゅうり」を栽培しているが、7月時期の多いときは、10aあたり1日2000本収穫でき、平均でも1000~1200本は収穫できた。今年はまったく夜温が下がらず、1日700~800本程度しか収穫できていない。高温の影響で曲がり果が多く収穫量が減少している。
- かぼちゃを4月に定植するが、毎年5~6月頃に大雨が降って病害が出る。その対策がなかなか出来ず、収量が減少している。
体感的には3年ほどで3~4℃上がっている感じ。これだけ気温が上がると根が傷む。結果、1~2割ほど収量、収入は減っている現状。 - この暑さでオクラは収量が3~4割減っているかな。高温の影響か、花が少なく、実も止まらない(生らない)。価格は上がっても、生産量が上がらないと厳しい。
- 夏場のトマトは高温で実割れが大量に発生してしまう。栽培そのものが難しくて撤退した。なすもヤケがひどくて4~5月頃からまともに出せていない。去年は全体の4割ほどが廃棄になってしまった。
- 夏場の野菜ではないが、にんにくも暖冬と春先の雨の影響で玉肥りが悪く平年の4割ほどしかできなかった。
- 標高450mでトマトを栽培しているが、気温が高く、湿度も少ない、雨も降らない、夜温が下がってくれないため、収穫量が減少している。例年7月~8月の出荷量は3.5トン~4トン位収穫できているが、2トンほどしか今年は収穫できていない。
- 夏はピーマンが乾燥と高温で、最初に定植した分は枯れてしまった。小さいうちから赤いピーマンもあるし、今年はあきらめた。半月くらい収穫できていない。来年は作らないかもしれない。
除草作業・潅水(水やり)について
- 雑草の伸びが早いので除草作業が大変。刈払い機で除草しているが、圃場の外周が石垣なので手除草になる。時間を作って除草しているが追いつかない。行政より雑草が多いと連絡がくることがある。周りからも害虫の棲み処になるので除草するにように言われることがある。
- 今年でいうと、梅雨明け後にまったく雨が降らないので潅水(水やり)が大変。潅水(水やり)設備がない圃場はタンクに水を入れて動力噴霧器で水やりをする。乾燥しすぎてどんなに潅水(水やり)してもすぐに土の中に入って表面がすぐに乾燥してしまう。
- 暑すぎて除草してもすぐ草が伸びる。除草作業が追い付かない状況。
- 暑さと雨が降らない分、草刈りがかなり大変。例年だと1ヶ月に1回でしているが、今年は2週に1回しても、除草が追い付かず、かなり大変している。
- 除草、水やりなどに以前よりも手間がかかり他の管理がなかなか追いついていかない状況。
- とにかく、水が足りない。しょうが、中晩柑の水やりはとても増えている。れんこんも今のところ大丈夫だが、水が不足するとこの地域では、「稲」への水やりを優先する方針となっていて、そうなるとれんこんが掘れなくなる。
- 角オクラやさつまいもを栽培しているが、水をかけても、焼け、枯れが発生している。水を畝に溜めたりするが、お湯になっている。毎日水やりすることもなかったのに、その分手間もかかっている。
- 暑すぎて除草作業ができない。できる限りやっているが、これだけ高温になっても雑草だけは今まで通り生い茂るので作業が追い付かない。
- 潅水(水やり)も大変。潅水(水やり)設備がない圃場は潅水(水やり)が追い付かない。
- いくら水をあげても吸い上げきれない。やりすぎてもダメになってしまうので、作るのが本当に難しくなっている。
グリーンコープは生産者と組合員とで気候変動の問題に立ち向かい、
持続可能な農業と安定的な供給体制の構築を目指した取り組みを進めていきます。
気候変動への対応をはじめ、生産者が抱える課題や不安をともに解消し、
持続可能な農業の実現を目指します。