グリーンコープ生協
ふくおか
神保 薫さん
PROFILE
2009年にグリーンコープに加入。その後、子育てサークルへの参加をきっかけに、2012年より活動組合員に。現在、単協ふくおかの「いのちとくらしの委員会」の委員長を務め、より良い「環境」や「暮らし」のあり方を広げるさまざまな活動に従事。持続可能な社会に向けて積極的に取り組み、4R運動の啓蒙にも尽力する。
たとえ小さな取り組みでも、
一人から変えられる未来がある。
脱炭素社会を意識して、普段の暮らしで何か取り組んでいますか?
その取り組みをやろうと思ったきっかけや動機は?
当初は環境のためとか、未来の地球のためといった動機ではありませんでした。理由を挙げるとすると、親の影響が大きかったのではないでしょうか。両親はジュースやお酒のびんは買った酒屋さんに持って行き、新聞や雑誌などはちり紙交換に必ず出していました。もともとモノを大事にする思考で、私自身もそうしつけられました。そんな昔ながらの生活を営む家で育ったからこそ、自然と「もったいない」という気持ちが芽生え、「使い捨て」や「大量生産」、「大量消費」の現代社会であっても、なるべく長くモノを使う習慣が身についてたのだと感じます。
大人になった今も、例えば買い物の際に、ある商品でびんとプラスチックの容器の選択肢があるとすると、迷わずびんを選びます。こうした生い立ちから当たり前のように4R運動に参加してきましたが、活動組合員としてカーボンニュートラルについて詳しく知るたびに、意義のある取り組みであることを再認識し、いっそう力をつくしていきたいと思っています。
自身の取り組みを続けるコツや気をつけていることはありますか?
ゴミの分別にしても、びんの返却準備における洗浄やラベル取りにしても、義務やノルマに感じるときっと長続きしません。そこで私の場合は、自分の楽しみと捉えるようにしています。改めて考えると、一般的な牛乳パックは、ハサミで切って、洗って、折りたたんで、近くのスーパーなどの回収場所まで持って行かなくてはいけません。
グリーンコープの場合は、びんを家の前の配達箱に入れておくか配達員さんに渡せば済み、環境のためだけでなく自分の手間も減るので、まさに一石二鳥です。常にそういう気持ちで取り組めば、まったく苦になりません。びんのキャップや紙のラベルが上手く処理できなかったら、時には甘えてそのまま返却することも「アリ」だと思っています。あくまで本質は資源のリサイクル。返し方を厳密に守るより、びんを回収してもらうことの方がよっぽど重要ですから。
また、4R運動におけるびんや食品トレー、たまごパックなどの返却作業で決めているのが、家族に任せずに自分でやること。その日の気分に合わせてマイペースで取り組み、きちんと実践できれば家庭ゴミの削減につながるほか、ゴミ袋も小さいサイズで事足り、ゴミ出しの際も体力を使わずに済みます。納得のいくゴミ処理ができたらうれしいですし、また次もがんばろうと思えますね。
環境のための取り組むご家族のエピソードはありますか?
わたしの夫は熊本出身。農業が盛んな土地で生まれ育った人です。その夫が、2016年の熊本地震のとき、実家を心配して帰省しました。家族や友人の安否を一通り確認して、福岡に戻ってきた夫が腕いっぱいに抱えていたのが大量の野菜や果物。理由を尋ねると、物流が止まって作物を取引できなくなった農家の方々が、自ら育てた野菜や果物を帰りの道端で売っている光景を目にしたとのこと。そこで地元の復興を応援するため、「買い支える」気持ちで、なるべくたくさん購入したと話してくれました。売れ残って廃棄処分になるくらいなら自分たち家族で食べて、少しでも熊本の生産者や農業の支援なればという、いたたまれない気持ちに突き動かされたようです。
そんな夫は、わたしと同じ感覚の持ち主で、不燃物などの家庭ゴミの分別にも積極的。さらに、いっしょに買い物に出かける際は、冷たい食品用、温かい食品用、平らなパッケージ用、柔らかい物用など、常に数種類のマイバッグを携帯しているほど用意周到な人です。これからも夫婦でできる取り組みを続け、脱炭素社会に貢献できればと思っています。
親の背中を子どもたちに見せ、環境への思いをつないでいく。
これは友人たちとキャンプに行ったときのことです。あるご夫婦がキャンプ場にゴミ箱があるにも関わらず、「自分たちのゴミは家で分別して捨てる」と言って持ち帰っているのを目の当たりにしました。確かに、その場にあったゴミ箱は分別するタイプではありませんでした。大いに感銘を受けたわたしたちが決めたのが、「どこに出かけても自分たちが出したゴミは、自分たちが住んでいる自治体以外では捨てないこと」。このルールを含め、環境のためのリユースやリサイクルなどの取り組みの大切さを我が子にも伝えていけるよう、まずは親の背中を見せ、実践して続けていこうと思っています。